
監督:デヴィッド・クローネンバーグ
脚本:ステーヴ・ナイト
キャスト: ヴィゴ・モーテンセン ナオミ・ワッツ ヴァンサン・カッセル アーミン・ミューラー=スタール イエジー・スコリモフスキー シニード・キューザック
2007 イギリス カナダ
■Story
舞台はロンドン。助産師のアンナ(ナオミ・ワッツ)が勤める病院に、ロシア人の少女が運ばれてきた。彼女は出産後、息をひきとってしまうが、遺品の中にあった日記を手がかりに、アンナは少女の身内を探そうとする。日記にはさんであった一枚の名刺を頼りに、あるロシアレストランに赴いたアンナは、ロシアンマフィアの運転手、ニコライ(ヴィゴ・モーテンセン)に出会う…
■Review
ヴィゴとクローネンバーグ監督のタッグによる、2作目です。
どちらも暴力がテーマで、主演俳優が同じだというのに、前作の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』とはまったく違う雰囲気を感じたのが不思議。もちろん、共通した風味はあるけれど、画面から伝わってくる雰囲気は別物なんだよね。乾燥したアメリカの大地と、曇天のロンドンという、それぞれの舞台となる土地が持つイメージが対照的だからなのか。
ニコライの正体と目的が分からない内は、あれこれ想像したりもするけれど、ストーリー自体はそれほど複雑ではありません。この作品に魅力を与えているのは、サスペンス的な要素よりもむしろ、俳優陣の演技と、クローンバーグ監督の演出でしょう。だからこそ、古典的なようでいて、どこかで見たことがあるマフィアものとは違う、一種独特の雰囲気を纏ってるんだろうと思う。
俳優陣は誰も彼もピッタリとハマってしましたね。
後で知ったんだけれど、マフィアのボスが『シャイン』のパパだったなんて。
一見柔和そうな物腰が、かえって不気味。『ヒストリー…』でのウィリアム・ハートも、一見柔和そうなタイプのボスだったし。いかにも威圧的じゃない方が、やっぱり怖い。
今回も、ヴィゴは素敵でした〜。
ほんとは、オールバックは好きじゃないんだけど…でも、ロシア語訛りの英語がすっごくセクシーなの。いやむしろ、ただ煙草をくわえて立っているだけでも色気があるんですが。相変わらず、微妙な表情がとても上手いなー。サウナでの衝撃的な乱闘シーンの後、彼の正体が明らかになるんですが、もっと因縁めいた理由を想像していたので、ちょっと意外でした。ウクライナの娼婦のことといい、最初に死体を川に流した場所といい、ストーリー的にはそれですんなり納得できたんだけど。ただ個人的には、正体が分かるまでの方が危うい雰囲気で好きだなぁ。
それと、ヴァンサン・カッセルが大変良かったです!
弱者には滅法強気だけれど、父親には絶対服従。良くも悪くも組織という枠の中で育ってきたキリルを、あんなに魅力たっぷりに演じられるなんて。彼の中には、残虐性と純粋さが共存してる。「王子」というニックネームがお似合いなお坊ちゃまなのに、愛おしささえ感じてしまった。彼が出てるんなら、今までスルーしてた『オーシャンズ12』も見てみようかな、という気になっちゃう。
タイトルになっている「イースタン・プロミス」は、イギリスでの東欧組織による人身売買契約のことを指すんだそうです。他にも、マフィアの刺青にそれぞれ意味があることとか、ロシア人の名前についてとか、知らない事がたくさんあって興味深かった。(公式サイトに説明があります)
ラストシーンは、見る人によって色んな捉え方ができそう。
誰がどうなったという事実としての結末は、それほど重要視されていないんでしょうね。見てるときは一瞬あれ?って思ったけれど、その余韻がいつまでも残っていて、あれこれと考えをめぐらせてしまう。
☆公式サイトは
コチラ